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  • FUKUOKA BEAT REVOLUTION

真夏の夜の夢か――疾風怒濤・九州音楽旅顛末記 Eli and The Deviants九州ツアー “Road to nowhere TOUR 2022”

更新日:2022年8月23日


この8月11日(木・祝)に福岡「bassic.」、12日(金)に熊本「ONE DROP」で行われたEli and The Deviantsの九州ツアー “Road to nowhere TOUR 2022”。 既に『福岡BEAT革命』のFBページではその模様をKJ&トントンマクートの札幌ツアー“ROCK&ROLL SUMMER 2022”同様、紹介している。今回も札幌ツアー同様、本ホームページでも紹介しておく。実は穴井は札幌ツアーに続き、九州ツアーも欠席。しかし、元アレルギーの中西智子が穴井の“穴”を埋め、華のあるゲストの文字通りの飛び入りもあり、疾風怒涛の勢いで乗り切った。


穴を埋め、華を添える――Eli and The Deviants “Road to nowhere TOUR 2022”ツアー DAY1


しかし、「穴山淳吉」(下山淳+穴井仁吉)は何が起こるか、わからない。穴井仁吉のトーク同様、行き先不明、暴走気味がロックの醍醐味なら、間違いなく「穴山淳吉」の発展形、「トントンマクート」の親戚筋であるEli and The Deviantsはロックそのものだろう。




8月11日(木・祝)、福岡「bassic.」から始まったEli and The Deviantsの 九州ツアー“Road to nowhere TOUR 2022”。穴井仁吉は残念ながら怪我のため、KJ&トントンマクートの札幌ツアーに続き、欠席になってしまったが、穴井の穴は元アレルギー、現ODED、ウルフルケイスケバンド、JUST FOR ONE DAYの中西智子が見事に埋め、まさかの飛び入り出演の大江慎也が華を添える。



ピンチヒッターを務めた中西は“プレッシャーを感じていた”と言う。ヤマジやKAZIなどとの共演経験もあり、九州出身のミュージシャンとも数多の交流はあるものの、流石にTHE ROOSTERS(Z)の下山淳とTH eROCKERS、THE ROOSTERZの穴井仁吉のバンドに参加する、それも人気者の穴井の代わり、地元・福岡でのライブ。二重、三重の重圧がかかると言うもの。しかし、そんなプレッシャーを心地良いものにして跳ね除け、穴井がEli and The Deviantsで築いたものをベースに彼女なりに上書きしていく。


この日のライブの直前、大江から下山に電話がかかってきた。実はツアー前に下山は大江に連絡し、酒でも飲みにこないかと、ゲストとしての出演を打診していた。しかし、新盆などの家庭の行事のため、大江は一度、断っている。ところが、まさかの飛び入り出演。いてもたってもいられなくなったのだろう。既にライブは始まっていたが、家から会場に駆けつける。彼は会場に着くと、付近に待機するでも楽屋にいるでもなく、バーカウンターの中にいた。気づかない観客がほとんどで、アンコールのため、メゾネットタイプの階上にある楽屋へ行くため、ステージを普通に横切って行ったが、突然の大江の登場に観客は何か、幻を見たと言う感じだったのだ(笑)。


それにしても圧倒的で圧巻だった。大江慎也のサイケデリックドリームのかけらが2022年に成長し、ばら撒かれていく。バンドとしての一体感が増し、その音も鋭利でいて、骨太である。諸先輩に囲まれ、それまで遠慮がちだったヴォーカルの武田も地元とあって、自由に大胆に振る舞う。ふてぶてらしさが加わる。それこそ、Eli and The Deviantsというバンドのヴォーカルらしい。下山とヤマジの怒涛のギターはいうに及ばず、中西とKAZIの芳醇なリズムの海はバンドの羊水となり、その音楽を育む。


穴井にとって、この日の福岡「bassic.」でのライブは3月の福岡「public bar Bassic.」、小倉「Live Bar『本陣』KOKURA」での「穴山淳吉」の九州ツアーに続き、凱旋公演になるはずだった。福岡・親不孝通りにある「bassic.」は言うまでもなく、元HEAT WAVE、現THE ONE NIGHTSの渡辺圭一が経営するライブバー。今年で10回目を迎えた「Bassic Rock Fes.2022」にはリクオや仲野茂BAND、THE PRIVATES、高木まひことシェキナベイベーズなども出演している。そんな場所への“凱旋”という約束は果たされなかった。しかし、その悔しさをメンバーの熱演が吹き飛ばしたのではないだろうか。彼らの演奏を配信で聞き、そう思ったはずだ。


いろんな意味でのサプライズは、彼らが持っていることの証だろう。下山淳の横に大江慎也がいる、こんないい光景はないだろう。やはり、大江が歌う「Venus」と「Do the boogie」は格別だ。考えてみればヤマジもKAZIもShinya Oe &Super Birdsのメンバーである。会場には先日、KJ&トントンマクート」で札幌ツアーに参加したKJこと、梶浦雅弘も来ていた。こういう集まりの良さ、挨拶を欠かさないのも”博多流“だろう。体育会系に見えて、そうではない、緩やかな人間関係が心地よいみたいだ。多くのミュージシャンが憧れるのも納得だろう。


この福岡のライブは瞬く間にソールドアウトになっている。限られた観客しか、見られないこともあって、同ライブはその配信が早々と決定した。いかに彼らが求められているかの証明ではないだろうか。アーカイブ視聴は以下まで。アーカイブの視聴期限は2022年8月25日(木) 23:59まで。いまからでも遅くない。



Eli and The Deviants [Gu.Vo:下山淳(ROCK'N'ROLL GYPSIES),Ba:中西智子(CODED/ウルフルケイスケバンド/JUST FOR ONE DAY/ex.アレルギー)Gu.Vo:ヤマジカズヒデ(dip),Dr:KAZI(ZZZoo),Vo:武田康男(蜘蛛蜥蜴/ex.HYSTERIC SUZIES)]


ガレージワンダーランドで最高のバンドが弾ける――Eli and The Deviants九州ツアー “Road to nowhere TOUR 2022” DAY 2


8月11日(木・祝)に福岡「basic.」から始まったEli and The Deviantsの九州ツアー “Road to nowhere TOUR 2022”が昨日、12日(金)に熊本「ONE DROP」で大団円を迎えた。わずか、2日間。ツアーというには短いが、終わってみれば濃厚な時間だったのではないだろうか。短い時間の中、穴井仁吉の怪我による欠席がありながらもピンチヒッターに中西智子を迎え、両日とも最高のステージを見せてくれた。流石、数々の修羅場をくぐり抜けてきた最高の演奏家だけある。彼らはこのコロナ禍の中、真夏の夜の夢を見せてくれた。


8月12日(金)、メンバーはワンボックスカーで同日の昼過ぎ、福岡から熊本へ向かう。いつも運転は穴井が務めてきたが、今回は武田が運転をする。メンバーの穴はメンバーが埋める。それがバンドというものだろう。お盆期間にも関わらず、高速道路などは渋滞もなく、順調に進む。数時間ほどで熊本に入る。会場入りまで時間があるので、昼食として、熊本ラーメンの人気店に飛び込む。当初は同店の本店に入るつもりだったが、あいにく順番を待つ行列ができている。支店へ移動して、すんなりラーメンにありつくことができた。メンバーの中には朝はうどん、昼はラーメンと、博多でお馴染みの麺類の連食というものもいたみたいだ。


会場の熊本「ONE DROP」は、熊本駅からは産交バスや市電を利用して行くことができる。ただ、最寄りの健軍町駅からも歩いて10数分かかるという。車だと熊本駅から同所までは20分ほどだが、益城インターからだと5分ほどである。インターを利用すれば各地からのアクセスの利便性は飛躍的に上がる。市の中心から遠いと、辺鄙なところを想像されるかもしれないが、インターの近くには九州最大級の展示ホール施設「グランメッセ熊本」を中心に量販店や飲食店などが軒をなす。意外と拓けた(失礼!)ところである。


そもそも「ONE DROP」は2006年に大人の隠れ家ダイニングバーをコンセプトにレストランとしてオープン。レストラン時代からライブやイベントを開催しているが、2020年からはライブ&ミュージックバー、イベントスペースとしての活動をより活性化。外観は街のはずれにあるアメリカンダイナーの雰囲気で、ロードムービーに出てきそうだ。いい意味で周りから浮いている。同所にはライブ&バースペースとヘアサロンがある。家具店が長年、倉庫として使用したところをデザインや建築の仕事をしていた花香竜也店長がリノベーションしたものだという。


中に入るなり、独特の佇まいに圧倒されるとともに大いなる刺激を受ける。そこにある家具や調度、小物、楽器、レコード、ポスター、フライヤー、フィギア、インテリア‥‥などが意志と主張を持ち、来場するものに語りかける。金に飽して集めたものではなく、誰かが作った、また、誰かに作らしたものが多い。オリジナルに敬意を払いながらそれを更新していく。単なるグラフティ感覚ではないのだ。店長は同所をただ、演奏する場所だけでなく、アートやカルチャーの発信地にしたいと言う。ライブだけでなく、映画の上映会、講演なども開催している。これまで同所ではシーナ&ロケッツを始め、THE MODSの森山達也とコルツのKOZZYのバスキングユニット「THE GANG BUSKERS」、苣木寛之のソロプロジェクト「DUDE TONE」、THE PRIVATES……など、骨太のラインナップ。下山淳も延原達治とのユニットで出演。穴井も2017年に山善&鬼平BANDで出演しているという。


何故、福岡の次が熊本だったのか。「ONE DROP」だったからだろう。会場へ足を踏み入れば、その瞬間にわかるはず。下山も宇野亜喜良の作品集など、珍しい、貴重なものが並ぶ書架を見て、ほくそ笑む。文化の香りみたいなものあるとしたら、そこに匂い、漂う。


メンバーは器材をセッティングし、リハーサルに挑む。既に東京で中西とともに事前リハーサルを重ね、前日には本番に挑んでいる。ある程度、出来上がっているため、リハーサルでは大きな修正や変更はなく、確認と微調整になる。リハーサルを終えると、開演時間まで時間があるため、リラックスタイムになる。たわいのない話から深い音楽談義になるところが彼らしいところ。


開場前から観客が会場の前に列をなす。昨日に続けて観覧するという方も少なくない。熱心なファンが多いと言うのが彼らの特徴だろう。


開演時間の午後8時を過ぎ、メンバーがステージに登場すると、彼らの演奏が始まる。1曲目は昨日同様、「GUN CONTROL」である。いうまでもなく、THE ROOSTERZ後期の爆音ロックの名曲だ。さらに「ネオンテトラダンス」(柴山俊之+センチメンタルフールのセカンドアルバム『汚れた顔の天使』に収録。歌詞は柴山、作曲は下山)「コールド・ターキー」(ジョン・レノンとオノ・ヨーコが率いるプラスティック・オノ・バンドのシングル曲)、ロマンティックでサイケデリックなナンバーを畳み掛ける。




日を重ね、回数をこなすことで、曲が育っていく。曲の体幹が飛躍的に上がる。メンバー同士の掛け合いや連携がアイコンタクトだけで行われる。穴井の欠席のため。その指揮を司る下山の仕事量は格段に増え、負担も大きくなるが、むしろ、そんな状況を楽しんでいるようにも思える。札幌といい、九州といい、下山の頼もしさを感じさせる。特に明言はされていないが、まさしくバンドリーダー。その鑑だろう。


前日の福岡同様、メンバーのオリジナル(「sell my soul」60/40<下山淳>、「君どうかしている」)HYSTERIC SUZIES<武田康夫>)やカヴァー(「ウォーター・メロン・イン・イースター・ヘイ」フランク・ザッパ、「See No Evil」テレビジョン、「Run Run Run」ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、「Road House Blues」ドアーズ)だけでなく、先の「GUN CONTROL」を始め、「Neon Boy」、「ニュールンベルグでささやいて」、「再現できないジグソーパズル」、「Venus」、「Do the boogie」など、THE ROOSTERS(z)の名曲が惜しげもなく、続々と披露される。前日は大江慎也の飛び入りというハプニングもあったが、このセットリストに観客は狂喜乱舞(!?)。彼らはコピーするのではなく、その当事者がいるだけにオリジナルをリスペクトしながらもこの5人で演奏することで刷新し、更新していこうとしている。考えてみれば、いま、Eli and The Deviantsのようなバンドはいない。ある意味、唯一無二の存在になりつつある。



THE ROOSTERZは最初の解散時、「再現できないジグソーパズル」という曲を残した。作詞を柴山俊之、作曲を下山淳が手がけた同曲は遺言のようなものだったかもしれない。その事実を受け入れつつも、敢えて違うピースで再現に挑む。歪なものになろうともそれは新しいジグソーパズルの完成でもある。そんな行為を通して、彼らの真のオリジナルなものが生まれてくる気配もある。


この日、彼らは一度目のアンコールを終え、楽屋に戻ったが、観客のアンコールを求める拍手はやまず、異例のことながら二度目のアンコールに応じた。初日にはなかったことだ。しかし、この日、披露した曲以外に演奏できる曲(このメンバーでリハーサルができたのは披露した曲だけだった)はなく、マニアックな観客からのリクエストで「ネオンテトラダンス」を再演することになる。こうしたハプニングも「穴山淳吉」らしいところだが、そんな姿を晒せることも強みではないだろうか。


アンコールの2曲目で武田は“福岡出身だけど、熊本は久しぶり。こんな格好いいライブハウスができていることも知らなかった。また、来たいです。また、会える日を願って、祈って、最後の曲です“と、自らの凶暴なハープの音色とともに「Do the boogie」を披露している。思わず出た言葉かもしれないが、このバンドを続け、形にしていくことをメンバー誰もが願っている。勿論、観客も彼らとの間をおかずの再会を期待しているだろう。


メンバーは満足気にステージを終える。器材を片付けなどをして、福岡へと帰る準備をする。その間、観客や店長、スタッフと楽し気に話す姿が印象に残った。


手応えはばっりだろう。穴井が怪我から復帰し、Eli and The Deviantsに加わった時、さらなる成長が期待できるというもの。いずれにしろ、この日、ガレージワンダーランドで見た最高のバンドのパフォーマンスは幻ではない。彼らの真夏の夜の夢は続いていく。



トントンマクートの札幌ツアー、Eli and The Deviantsの九州ツアーと、残念ながら穴井は参加出来なかったが、メンバーに限らず、観客も彼の存在を感じていたのではないだろうか。両ツアーとも必ず、穴井仁吉の話題が上がる。彼の名前が出る度に、怪我による入院という状況に関わらず、その場にいるものは笑顔になる。また、ライブ終了後は曲目や会場の情報をラインなどで送ってくれる。彼が入院中であることを忘れてしまうくらい、穴井仁吉はツアーに参加していた。


今回、岡本雅彦と中西智子という二人のベーシストが穴を埋めたが、考えてみれば二人とも音楽的背景や活動経歴は随分と違う。それをそれまで穴井は一人でこなしてきた。改めて彼の音楽性の多彩さと音楽的な柔軟性を再確認することになる。すごいベーシストだ、そう思った方も少なくないはずだ.


それにしても穴井が戻ってきたら、穴山淳吉はトントンマクートでもEli and The Deviantsでもみんなへの感謝を込め、岡本雅彦、中西智子、梶浦雅弘をゲストとしてお迎えし、御礼のイベントをしなければならないだろう。彼らの友情に感謝するとともに会場と観客に大きな借りができた。それを楽しみながら返して欲しい。


いまのところ、9月19日(月・祝)に新宿「red cloth」でアカネ & トントンマクート『 ONE MAN SHOW』、10月16日(日)に下北沢「シャングリラ」で『亀戸ハードコア10周忌』(穴井、ヤマジが出演する他、鮎川誠、鶴川仁美、澄田健、伊勢田勇人などが出演予定)が開催される。


一日も早い、穴井仁吉の復帰とアカネ & トントンマクートとEli and The Deviantsのフルメンバーによるライブを間近にみたいところ。


アカネ & トントンマクート ONE MAN SHOW

9月19 日(月・祝) 新宿red cloth

出演:

アカネ & トントンマクート

[佐々木茜(Dr.Vo.)、下山淳(Gt.Vo.)、穴井仁吉(Ba.Vo.)、延原達治(Gt.Vo.)]


開場:18:00 / 開演:18:30

前売:¥4,000(D別) / 当日:¥4,500(D別)

新宿 red cloth(紅布)






下山淳/延原達治

LIVE in HAMAMATSU

9/17(日) 浜松 ZOOT HORN ROLLO

open/18:00 start/18:30

adv/3,500(+1D) door/4,000(+1D)

《ご予約はメールにて》 gypsies.67@ezweb.ne.jp

※当初の予定より会場変更しています。ご注意くださ













亀戸ハードコア10周忌(KAMEIDO HARDCORE 10YEARS AFTER)

10 月16日(日)下北沢シャングリラ

開場:15:00 / 開演:16:00

前売:¥4,000(1ドリンク¥600別)


出演

WATCH OUT

(Vo. ニックン Ba. 穴井仁吉 Gt. シズヲ Gt. イノウエヒロミチ Dr. 須藤俊明 )

THE RUDEBOYS

(Ba.Vo 玉井政司 Gt. 山本大治郎 Dr. 辻本幸生 )

PIRATE LOVE

(Gt. 鶴川仁美 Dr. 大島治彦 Ba. 玉井政司 )

鮎川誠 (Gt. Vo.)& Lucy Mirror(Vo.)

ヤマジカズヒデ (Gt.)

細海魚 (Key.)

穴井仁吉 (Ba.)

吉村由加(Dr.)

松山クミコ (Vo.)

澄田健 (Gt.)

DJ : MACKY RAMONE

Guest DJ : 伊勢田勇人


下北沢シャングリラ https://www.shan-gri-la.jp/tokyo/




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