もはや、説明不要だが、一応、簡単に説明しておく。石井聰亙(現・石井岳龍)が監督し、1982年に公開されたニューウエイブ・パンク・ムービーの傑作『爆裂都市 バーストシティ』。ザ・ロッカーズの陣内孝則と鶴川仁美、ザ・ルースターズの大江慎也と池畑潤二にオーディションで選ばれた伊勢田勇人(石井監督はシド・ヴィシャスをイメージして彼を抜擢したらしい)を加え、架空のパンクバンド、バトルロッカーズを結成、映画の中で爆裂するパフォーマンスを見せてくれた。
彼らの演奏を含む、同映画のサウンドトラック・アルバム『バーストシティ(爆裂都市)オリジナルサウンドトラック』は、3月13日の映画の公開に先駆け、40年前の今日、1982年3月5日に発売された。バトルロッカーズのリアルな音と歌はいまも聞くものの心と身体を捉え、40年経っても新たなファンを生み続けている。
映画そのものはVHSビデオ、DVD、ブルーレイ……と、メディアが変わる度にリリースされ、幻の映画になることなく、伝説の映画として、多くの映画ファン、ロックファンに愛されている。2021年には『爆裂都市 バーストシティ』が東映の運営するYouTube チャンネル「TOEI Xstream theater」の「土曜21時は映画を見よう!」シリーズの第1弾として3月20日(土)の21時より1週間限定で無料配信&プレミア公開された。40年前のことではない。コロナ禍にあった(勿論、残念ながら継続中、収束はいつか!?)昨年、2021年のことだ
サントラも映画同様、アナログのCD化を含め、度々、リイシューされている。直近では2018年8月12日に60歳になった陣内孝則の“還暦記念”として、同年8月17日にソロ・アンソロジー『ANTHOLOGY OF J』とともに発売されている。
『バーストシティ(爆裂都市)オリジナルサウンドトラック』の聞きどころは数多いが、やはり、「セルナンバー8(第8病棟)」ではないだろうか。陣内が作詞、大江が作曲した同曲は2人で顔を突き合わせ、作ったものだが、瞬時に出来たという。あるバンドのギターリフにインスパイヤ―されたものらしいが、譜割もメロディーももちろん歌詞もオリジナルなものだ。むしろ時代を超えてコアなファンに支持されている大江のセンス、先見性に刮目すべきだろう。その曲がここにきて、ザ・ロッカーズにとって、重要な曲になっている。彼らは2016年9月21日、東京・渋谷のライブハウス「WWW X」で、ザ・ロッカーズ結成40周年を祝う“復活ライブ”を行った。アンコールで、この日、スペシャルゲストとしてオープニングアクトを務めたグループ魂と共演、一緒にやったのが「セルナンバー8(第8病棟)」だった(グループ魂の「グループ魂のテーマ」は同曲の“替え歌”らしい)。
また、2019年4月17日にザ・ロッカーズは38年ぶりの新録オリジナル・アルバム『Rock’n Roll』をリリース。同年5月と7月に新作を携え、全国ツアー「TH eROCKERS TOUR 2019 Around & Around」を行っているが、そのオープニングやアンコールなどを飾ったのが同曲だったのだ。
バトルロッカーズは、映画の中の架空のバンドだが、実は映画だけでなく、ライブハウスなどでも演奏している。あくまでも映画のプロモーションの一環で、ゲスト的な扱いで、ステージに立っている。
1981年12月13日は東京・新宿歌舞伎町 「ディスコ・ハローホリデー」(バトルロッカーズの演奏とラッシュの試写会が行われた)、1982年2月19~20日(オールナイトギグ!)は東京・新宿「LOFT」(出演はザ・ルースターズ 、ザ・ロッカーズ 、泉谷しげる、バトルロッカーズ。ゲストは石井聰亙)、同年3月12日は東京・新宿「東映劇場」(翌3月13日の映画の公開に合わせた“前夜祭”。映画『爆裂都市 バーストシティ)』が上映され、ザ・ロッカーズ、ザ・ルースターズ、バトルロッカーズのライブが行われた。ゲストは石井聰亙と泉谷しげる)……などで演奏しているのだ
バトルロッカーズのライブアピアランスは残念ながら“前夜祭”が最後となったが、もし機会があれば、彼らの復活も見てみたいもの。予想もしないことが起こる世の中だ。見果てぬ夢ではないかもしれない――なんてね。
なお、昨2021年3月18日のエントリーで『爆裂都市バーストシティ』配信記念として、映画公開時の陣内孝則+大江慎也 の“爆裂対談!”を以下に掲載している。また、対談だけではなく、2018年のサントラのリイシューに際し、同作のライナーノートのために取材したものを一部抜粋して、その制作過程を紹介している(ライナーノートでは石井岳龍、陣内孝則、大江慎也、『爆裂都市 バーストシティ』後に正式加入した安藤広一にコメントをもらった)。それも併せて読んでいただきたい。
『爆裂都市バーストシティ』配信記念! 陣内孝則+大江慎也 爆裂対談!
『バーストシティ(爆裂都市) オリジナルサウンドトラック』は、前述通り、1982年3月5日にキャニオン・レコード(ポニーキャニオンの前身)のレーベル「SEE-SAW」からリリースされている。サントラのプロデュースは同映画の音楽監督で、ザ・ルースターズのプロデュサーの柏木省三が務めている。石井から全権委任され、当時の英米の先鋭的なロックともシンクロとする、同時代的なものになった。ソングライティング、レコーディングには大江、池畑以外にザ・ルースターズの花田裕之、井上富雄、後にザ・ルースターズのメンバーになる安藤広一などが参加している。映画では収録曲以外、泉谷しげるやサンハウス、スターリンなどのナンバーも流れている。DVDやブルーレイで確認いただきたい。
A面
1. 「ソルジャー」<Instrumental>(1984)
作曲・池畑潤二 編曲・1984
2. 「セル ナンバー 8(第8病棟)」(バトルロッカーズ)
作詞・陣内孝則 作曲・大江慎也 編曲・バトルロッカーズ
3. 「ワイルド・スーパーマーケット」(バトルロッカーズ)
作詞・大江慎也 作曲・大江慎也 編曲 バトルロッカーズ
4. 「シャープシューズでケリ上げろ!」(ザ・ロッカーズ)
作詞・陣内孝則 作曲・谷信雄 編曲・ザ・ロッカーズ
5. 「プア ボーイ」(ザ・ロッカーズ)
作詞・陣内孝則 作曲・陣内孝則 編曲・ザ・ロッカーズ
6. 「ソロー」<Instrumental>(1984)
作曲・井上富雄 編曲・1984
7. 「シスターダークネス」(バトルロッカーズ)
作詞・大江慎也 作曲・大江慎也 編曲・バトルロッカーズ
B面
8. 「視界ゼロの女マチ」(陣内孝則)
作詞・泉谷しげる 作曲・陣内孝則 編曲・ ザ・ロッカーズ
9. 「キックス」<Instrumental>(1984)
作曲・花田裕之 編曲・1984
10. 「マイト ガイ」(ザ・ロッカーズ)
作詞・陣内孝則 作曲・谷信雄 編曲・ザ・ロッカーズ
11. 「バチラス ボンブ(細菌爆弾)」(バトルロッカーズ)
作詞・大江慎也 作曲・大江慎也 編曲・ザ・ロッカーズ
12. 「フラストレーション」(バトルロッカーズ)
作詞・ 陣内孝則 作曲・陣内孝則 編曲・バトルロッカーズ
13. 「ボロボロ」(バトルロッカーズ)
作詞・陣内孝則 作曲・谷信雄 編曲・バトルロッカーズ 1:44
14. 「セル ナンバー 8(第8病棟) リプリーズ」(バトルロッカーズ)
作詞・陣内孝則 作曲・大江慎也 編曲・バトルロッカーズ
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