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  • FUKUOKA BEAT REVOLUTION

地元でライ部が水戸で実現した“夢の一夜”!--花田裕之 流れ premium meets SION 〜水戸の片隅から〜」花田裕之+SION

花田裕之とSIONの共演。MOGAMIなどでの共演経験はあるが、二人だけというのはそうあることではないだろう。そんな魅力的な座組を見かけたのは3月過ぎのこと。ツイッターで偶然、見つけた。そのツイートには“地元でライ部”と書かれていた。

そのツイートをしているのはノリさんという方で以前からその名前は知っていて、ツイッターもフォローしていた。リクオや花田裕之、中川敬、山口洋、友部正人……など、全国を一人で回るという演奏活動しているミュージシャンも少なくない。ロックそのものが産業化し、全国規模で大掛かりなセットとスタッフを引き連れてサーキットするバンドがいる一方で、かつてのフォークシンガーやブルースマン、また、インディーズのバンドやシンガーがマネージャーやプロダクション、イベンターなどに頼ることなく、独自の活動を続け、活路を見出して、リクオ言うところの“実演販売”しながら全国行脚をしていることも知っている。それらが絵空事やポーズなどではなく、ちゃんとツアーとして成立しているのだ。人と人、街と街を繋ぐ――それも待っている人、招く人がいてこそ、成立するものだろう。各地で拠点となる場所、また、核となる人物がいるから、それも可能になる。そんな核になる活動をしているのが、茨城県水戸市を中心に活動する「地元でライ部」であり、それを率いるノリさんこと、甲斐宣嗣さんであるといっていいだろう。



その告知は、まず狭い範囲で始まった。通常、告知などは各アーティストのサイトなどを通じて最初にされるものだが、そうなると早々に売り切れになり、行きたくてもチケットが入手できないという人も出てくる。やはり“地元”や“部員”、“仲間”が見られなければ意味がないだろう。そんな配慮かもしれない。また、県外からくる方には直前にライブ後に立ち寄れる居酒屋やバーの情報なども送ってくれる。何か、“ようこそ、水戸へ”というおもてなしの心を感じる。



水戸市は茨城県の県庁所在地である。水戸といえば水戸黄門や偕楽園がお馴染みだろう。東京から水戸へは電車だと常磐線で上野駅から2時間ほど、特急を使えば1時間ほどだ。車だと高速の小菅ジャンクションから常磐道を経由して1時間20分ほどである。決して遠いところではない。勿論、電車でも車でも日帰り圏内だ。


また、茨城と言うと、音楽ファンには2022年から千葉市蘇我スポーツ公園(千葉県千葉市)に会場が変更になったが、2000年以来、過去20回にわたり国営ひたち海浜公園(茨城県ひたちなか市)で開催(2020年と2021年は新型コロナウィルス感染拡大のため、開催休止)された夏の音楽フェス「ROCK IN JAPAN FES.」(ロック・イン・ジャパン)がお馴染みだろう。同フェスに参加するため、水戸に立ち寄ったり、同市へ泊まった方もいたのではないだろうか(水戸駅から会場までシャトルバスが運行していた)。いずれにしろ、ロックのメッカとは目と鼻の先だった。


その日、2023年5月28日(日)は少し早めに水戸へ着き、会場のCLUB「VIBES」の近くの駐車場に車を停めて、周辺を散策する。会場は水戸駅北口から徒歩5分ほどのところである。駅周辺を歩くと、失礼かもしれないが、思いのほか、都会である。駅のコンコースにはたくさんの店舗が入った駅ビルもある。ペデストリアンデッキには水戸黄門の銅像や時計塔(水戸駅童謡からくり時計「広場物語」)もあった。駅前にはノリさんがライブ後のお薦めとして案内状にあった居酒屋や飲食店もある。夕方前にも関わらず、店はどこも盛況である。どれも敷居は高くなく、なんとなく気軽に入れそうなところだ。


また、会場に向かい、メインストリートを北上していくと、カフェやバー、ショップ、レコ―ド店などがある。これも質素な佇まいながら、雰囲気がある。レコード店ではカーティス・メイフィールドのポスターとフライドエッグのジャケットが普通に並んでいて、嬉しくなる。音楽的な感度の高さを感じる。カフェも入ったところは豆や焙煎に拘りがあり、椅子やソファーなども気が利いている。とても居心地のいい空間である。ノリさんの案内にも書いてあったが、コインパーキングも至るところにある。官庁街が近いこともあるが、駐車場が多いと言うことは、市民の移動がモーターリゼーションということもあるのだろう。同時に、かつてあった店舗などが潰れ、畳まれて、その跡地が遊休地活用として駐車場に代わる。固定資産税対策かもしれないが、何かが新しくできる余地も残している……と勝手に思い込む。


©️三浦麻旅子


会場の「VIBES」はライブハウスと言うより、カフェやバー、クラブと言う趣き、この日のため、敢えて同会場にしたみたいだ。主催者のノリさんが受付などで忙しく動き回っている。多くの方が彼に親し気に声をかける。おそらく、“常連”と言われる方だろう。地元の方だけでなく、近県からいらしている方もいるみたいだ。ノリさんは恰幅の良い男性で、普段は飲食関係の仕事をされているという。私もご挨拶したが、その柔らかい物腰と佇まいに安心感を抱かせる。特に言葉を交わさずとも彼の魅力がなんとなく伝わってくる。彼は受付だけでなく、バースペース、ステージ、楽屋などを忙しく動きまわる。本当に働き者だ。


会場は1階が受付、2階がバースペース、地下が演奏スペースになっている。席はなく、オールスタンディング。会場には続々と観客が詰めかける。文字通り、満員御礼状態である。


開演時間の午後6時にライブは始まるが、その前にノリさんの挨拶があった。いきなりで驚いたが、「地元でライ部」では恒例らしい。ライブの撮影や録画の禁止などが告げられ、それが守られない場合はライブを中止するという。撮影に関してはいろいろな考えもあるが、撮影を禁止する、許可するに関わらず、予めの注意喚起は見る方としてもどう臨むべきかがわかるので、いいのではないだろうか。



▼この人が「地元でライ部」のオルガナイザー、

ノリさんこと、甲斐宣嗣さん 

©️三浦麻旅子

開会宣言(!?)の後、花田裕之が登場する。“前座をさせてもらう花田です”という挨拶とともにサンハウス流のホーボーソング「スーツケースブルース」が演奏される。同曲に続き、“流れ”ではお馴染み、ニール・ヤングの「孤独の旅路(ハートオブゴールド)」を畳みかける。花田は改めて”SION先輩(!)の前座を出来て幸せです”と、観客へ告げる。そしてBUZZの「ケンとメリー~愛と風のように」、山口富士夫の「汽笛が」を披露する。同曲はスライドを駆使して、アーシーでスワンピーなサウンドに仕上げられる。ブルースマン、花田裕之の面目躍如だろう。

                                 

©️三浦麻旅子

続けてオリジナル「お天道さま」を演奏する。同曲はbandHANADAのオリジナルアルバム『ROADSIDE』(2017年)に収録されている隠れた名曲。そしてカバーアルバム『RENT-A-SONG』(1995年)に収録されたホーボーソング「おさらば」(山口富士夫)を続ける。さらに“前座、もう一曲やらせてもらいます”と告げ、サンハウスの「なまずの唄」を披露する。山口富士夫、サンハウスとブルースの沼を堪能してもらった後は、”歌ってくれといったら、すぐ来てくれた”というSION先輩(!?)を紹介する。SIONは“先輩ではないけど、同級生。ちょっとお邪魔しますね”と挨拶をして、SIONの名曲「夜しか泳げない」を花田のギターをバックに、SIONはタンバリンを叩きながら歌い始める。



©️三浦麻旅子

ちなみにSIONは1960年9月13日生まれ、山口県下関市豊北町出身。花田は1960年6月20日生まれ、福岡県北九州市出身。同ライブの時点では62歳と同年齢だった。同級生であることに間違いはない。また、北九州と下関、関門海峡を挟む、お隣同士(!?)でもある。





「夜しか泳げない」に続き、「SORRY BABY」(1986年にリリースされたメジャーデビューアルバム『SION』に収録されている)をSIONのハープと花田のギターで聞かせる。同曲は福山雅治にもカバーされている。福山繋がりでいうと、彼は花田の「雨のバス」(花田が1998年にリリースしたアルバム『Song For You』に収録)もカバーしている。福山は、俳優だけでなく、音楽家としてもなかなか、目の付け所がいい。ちなみに彼は長崎出身で、学生時代はザ・モッズやザ・ルースターズ、ザ・ロッカーズ、ARBなどをコピーしていたという。


「SORRY BABY」をSIONの“花田!”というコールから花田が歌い継ぐ。こんなやり取りは“共演”だからこその醍醐味だ。



花田はアコースティックからエレキに持ち替え、同じくデビューアルバム『SION』 に収録された「レストレス・ナイト」を弾き出す。SIONのハープがブロウし、ヴォーカルが吠える。どこかレイドバックしながらも緊張感のようなものが押し寄せてくる。同曲を歌い終えると二人はステージから消える。第1部の終了だ。会場では夢のような共演と夢のような時間を興奮気味に語り合うものも多い。会場が明るくなると、旧友を見つけ、その再会を喜ぶものも少なくない。午後6時に開演し、午後6時55分に第1部が終了する。1時間ほどだが、二人の共演による濃密な時間である。独特の磁場が発生し、彼らならではの空気感が会場に漂う。まさに水戸まで来なければ体験できないものだろう。



第2部は午後7時を10分ほど、過ぎて始まる。まず、花田が一人でステージに登場。お馴染み、ストーンズの「ハート・オブ・ストーン」を弾きだす。ストーンズを入口に「ねえ、ママ」(サンハウス)、「ヘイガール」(ルースターズ)、「Do The Boogie」(ルースターズ)と畳みかける。説明不要の花田のルーツとなる曲たちだ。“流れ”は花田にとって自分探しの旅でもある。観客はそんな旅に“同行二人”できる喜びを歓声と拍手で花田に伝える。


続いて花田は3枚目のソロアルバム『ALL OR NOTHIN’』(1983年)に収録されたHOBOたちの心象風景を描き、旅する理由を吐露する「いつか見た夢」を披露した。


©️三浦麻旅子

同曲を歌い終えると、SIONが登場。SIONは“花田とは1984年に会ったんじゃないかな。その前に一番最初にルースターズのメンバーで会ったのは池畑さんで。スマッシュの日高さんから「いいドラマーを見つけて来たから」って言われて。最初はにらみ合って、一言も口を利かなかった(笑)”そうだが、池畑はSIONのメジャーデビューアルバム『SION』(1986年)のレコーディングに参加。同時に花田も参加している。同作には穴井仁吉も参加している。SIONは“めんたいロック”ともかくも深い縁があった。また、SIONは花田が歌った山口富士夫について、偶然、中央線の電車の中で出会ったエピソードなどを楽しそうに話す。ブレイクの時間にアルコールでもあおったのか、やけに饒舌である(笑)。そんな二人はSIONの名曲「遊ぼうよ」(SION『夜しか泳げない』1990年)を披露する。観客は“遊ぼうよ”とコーラスを被せる。コロナ禍以降、久しく行われなかったコール&レスポンスが実現。二人も観客もそんな瞬間を喜んでいるかのようだ。


©️三浦麻旅子

SIONはお馴染みの曲ばかりでなく、昨2022年にリリースしたアルバム『I like this, too』から「笑っていくぜ」、「お前の笑顔を道しるべに」という新曲も披露する。過去の名曲を披露するだけでなく、最新型のSIONもちゃんと届けている。同曲を歌い終えると、二人はステージから消える。時間は午後8時10分前(7時50分)。観客のアンコールを求める拍手と歓声は止まない。数分後、二人がステージに戻って来る。SIONは観客へ“もう1曲だけいこう”と告げ、花田へ“花田、なんだか、楽しいな、俺”と語りかける。


そう言って、歌い出したのは「お前の空まで曇らせてたまるか」(SION『鏡雨~kagamiame~』2009年)だった。アップテンポのナンバーで観客の手拍子と歓声がその歌にスピ―ドとパワーを与える。平易な言葉で歌われ、強い口調で鼓舞するような歌ではないが、何か、聞くものを自然と勇気づける、そんな歌である。世の中は悪いことばかりではない、ふさぎ込んでもいられない。生きづらさを潜り抜け、その先に希望を信じる。曇天を過ぎれば晴天になる。そんなことを歌っている。アンコールにこんな隠れた名曲を持ってくるのが心憎い。閉塞状況を突破してやる――と心に刻む。聞いていると、胸が熱くなり不思議な高揚感を覚え、涙が自然と溢れ出る。同曲を歌い終えると、SIONは観客へ感謝を告げ、ステージから消える。一人残った花田はサンハウスの「もしも」を歌う。サンハウスのナンバーで、ベースになったのはいうまでもなくマーサ&ザ・ヴァデラスの「ヒートウェイブ」である。同曲を聞いていると、客席から“この歌を聞くのは2回目だけど、好きになってきた”と言う声が聞こえてきた。こうやって、歌は広がり、残っていく。花田の布教活動(!?)は続くのだ。



同曲を歌い終えると、花田はステージから消える。しかし、観客の拍手と歓声で再び、呼び戻される。SIONと花田が再び、ステージに戻って来る。花田がブルージーなフレーズを弾きだし、SIONがルーズな歌を重ねる。くたびれた心が明日は立ち上がるように 月のシャワーを浴び ウィスキーを1杯――と歌う「ウィスキーを1杯」(SION『不揃いのステップ』2014年)だ。同曲を歌い終えるとSIONは観客へ“ありがとう”と感謝を告げ、花田へ“呼んでくれて、ありがとう”と同じく感謝を告げる。二人がステージから消える。時間は午後8時を5分ほど、過ぎていた。


その数分後、ノリさんがステージに登場する。閉会宣言(!?)が始まる。彼は何度も“ありがとうございました”と感謝を伝え。“こんなこと、水戸でできると思っていませんでした”と興奮気味に語る。客席からは彼への感謝と前日、5月27日に50歳になった彼へ誕生日、おめでとう、と声を掛け、ステージにはバースディケーキが登場する。こんなライブは初めてではないだろうか。改めていうまでもないかもしれないがが、このイベントは彼しかできないものであり、同時に観客はそれを知っているからこそ、ハッピーバースデイが歌われたのではないだろうか。まさに水戸だからできた一夜の夢である。



終演後、楽屋を訪ねると二人とも嬉しそうな笑顔を浮かべている。SIONは当初、数曲ゲストとして歌うだけと思っていたらしいが、知らぬ間に曲数が多くなり、持っていくハーモニカの本数も増えていったという。また、アンコールの「お前の空まで曇らせてたまるか」や「ウィスキーを一杯」など、背中を押し、前を向かせるような歌を敢えて歌ったことに関して、“勇気づけるような歌を歌いたかった”からと話してくれた。この困難な状況にあって、戦い続けるものへのエールにも聞こえる。いい意味で不変の彼がいた。花田はとてもにこやかで、嬉しそうに話し、改めてSIONへ感謝の言葉をかける。同時にこの後、水戸での仲間達との酒宴を楽しみにしているかのようだ。“流れ”がライブだけに留まらないのは、街と街を繋ぎ、人と人を繋ぐものであることの証明ではないだろうか。全国を旅しながら街と人を繋いでいく。旅する詩人と都市の光と影を歌う詩人の邂逅、水戸の片隅で起こった奇跡である。


映画「世界の片隅に」の最後のシーンに“ありがとう。世界の片隅に、見つけてくれて”という台詞がある。改めて、ノリさんへ夢を見せてくれて、ありがとうと言いたい。きっと、その場にいた誰もがそう感じたはずだ――。


2023年5月28日(日)茨城県水戸「VIBES」セットリスト

花田裕之 流れ premium meets SION ~水戸の片隅から~」花田裕之+SION

第1部

花田

①スーツケースブルース(サンハウス)

②ハートオブゴールド(ニール・ヤング)


③ケンとメリー~愛と風のように(BUZZ)

④汽笛が(山口富士夫)

⑤お天道さま(bandHANADA『ROADSIDE』2017年)

⑥おさらば(山口富士夫)

⑦なまずの唄(サンハウス)


花田+SION

⑧夜しか泳げない(SION『夜しか泳げない』2004年)

⑨SORRY BABY(SION『SION』1985年)

⑩レストレス・ナイト(SION『春夏秋冬』1987年)


第2部

花田

⑪ハート・オブ・ストーン(ローリングストーンズ)

⑫ねえ、ママ(サンハウス)

⑬ヘイガール(ルースターズ)

⑭Do The Boogie(ルースターズ)

⑮いつか見た夢(花田裕之『ALL OR NOTHIN』1993年)


花田+SION

⑯遊ぼうよ(SION『夜しか泳げない』1990年)

⑰笑っていくぜ(SION『I like this, too』2022年)

⑱お前の笑顔を道しるべに(SION『I like this, too』2022年)


EC

花田+SION

EC①お前の空まで曇らせてたまるか(SION『鏡雨~kagamiame~』2009年)


花田

EC②もしも(サンハウス)


花田+SION

EC③ウィスキーを一杯(SION『不揃いのステップ』2004年)



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■地元でライ部 ノリ(甲斐宣嗣)インタビュー

「地元でライ部」の部員はみんな「お・も・て・な・し」の気持ちを持った面々です!

▲花田裕之が肩を組んでいるのが「Jazz Bar Blue Moods」の榎宣幸代表 。“この人が地元水戸に居てくれたおかげで僕らは活動出来ております”という。花田、SION、榎代表を除いた5人が“部員”になる。SIONの隣で緑のTシャツを着ているのがノリさんこと、甲斐宣嗣さん


この奇跡のようなイベントをやり遂げた「地元でライ部」のノリさんこと、甲斐宜嗣さんことをもっと知りたいと思い、ライブ後、メールにて質疑応答をさせてもらった。とても丁寧で誠実な言葉が詰まった回答をいただいた。改めて、地元でライ部の成り立ちや彼の生い立ちなども聞いている。少し長くなるが、読んでもらいたい。読んでもらった方の中から地元でライブをと言う方が出てくれば、こんな嬉しいことはない。


改めてノリさんこと、甲斐宣嗣(カイノリツグ)さんを簡単に紹介しておくと、彼は地元・水戸で飲食店経営をしながら「地元でライ部」活動を続けている。1973年5月27日生まれ、茨城県水戸市出身である。このライブの前日に50歳になった。2009年3月20日(金・祝)に水戸「Jazz bar Bluemoods」でリクオのライブを開催。同ライブが「地元でライ部」のスタート地点だという。現在までに花田裕之、山口洋、藤井一彦、中川敬、大江慎也、大森洋平、仲井戸麗市……など、地元・水戸で40回(本2023年5月28日が44回目だった!)を超えるライブを主催している。自らの主催以外にも仲間のお手伝いに駆り出されることも多く、様々なライブをサポートしている。


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【地元でライ部立ち上げの経緯】

自分は若い頃オーガナイザーになろうなどとは考えておりませんでした。もともとは、地元である水戸の地で働き、たまの休みの日曜か祝日に東京近郊に遠征する一般の観客でした。


東京発の終電の関係で、開催されるライブの場所によっては、ライブ終演を待たずして中途退席し、後ろ髪をひかれながら帰宅するようなことも多々ありました。


東京近郊のライブもじっくりと終演まで堪能できない。ましては地方の地、自分の地元水戸では自分が聴きたいミュージシャンにお越しいただく機会も稀です(たまたまお越しいただいても、自分が仕事で抜けられない平日や土曜の夜に開催されることが多く、自分にはライブで音楽を楽しむ機会が得られませんでした)。

「どうしたら水戸で日曜にミュージシャンの皆様にライブをしてもらえるか」を、日々悶々と考えていました。


転機となったのが、今回PAチームに参加してくれた「Jazz Bar Blue Moods」代表の「榎宣幸」氏との出会いでした。榎さんの店は木製の内装で音鳴りも優れ、彼自身のPA技術も卓越し、良いハコとそのオーナーと、この街で巡り合えたのです。彼は、JAZZ BARを経営する一方で、もとはロックのドラマー出身でロックミュージックにも相変わらず深い愛情を持っていてくれました。


利益本位でないハコのオーナーとの出会いが、素人がライブを企画しうる前提として整いました。 


そして、隠れた良いハコがある以上、自分がお呼びする形で、よいミュージシャンに水戸でライブをしてもらえないかと自分は考えました。


そこでその前年に水戸でライブに来られた「リクオさん」のBLOGのことを思い出しました。その内容はライブの集客が少なすぎて、悲しいかなこの地でのライブ開催は難しいとのことでした。


その文面がビジネスライクではなく、音楽を真摯に伝えたいとの思いにあふれているのにあらためて接して、この方は誠実な方だと思いました。そして水戸でこの方にオファーするのは自分しかいないと、なぜか勘違いし、Blue Moods代表の榎氏の文書指導を受け、リクオさんへの熱いオファーをお送りしました。それがライブ企画者のうれしい「沼」に足を突っ込んだきっかけです。




水戸での観客動員に苦い思い出のあるリクオさんでしたが、最終的に、タイミングよく渋谷BYGでのライブが日曜にあり直談判をしに行き、自分にライブ企画のチャンスを頂いた次第です。


そして、第一回目の自分が主催するライブをBlue Moodsにて榎氏の全面支援のもと、2009年3月20日に素人ながら手探りでリクオさんのライブを企画開催。


その後、第一回ライブの観客であった伊藤直喜君と意気投合し、活動に参加していただき、現在に至るまで部員として継続参加(現在休筆中だが彼執筆の地元でライ部BLOGあり)。



その後リクオさんを年1回お呼びすることが2年続き、オーガナイザーとしての様々な役割や、企画のあり方のことを学ばせていただきました。



ライブ主催をして3年目の時に、福島県いわき市にて「花田裕之」さんの「流れ」に客として伺った際、箱のマスターの取り計らいで、ライブ後の打ち上げに参加させていただきました。そこから花田裕之さんとのご縁ができ、自分たちの企画に出演頂く道筋ができました。


活動4年目に女子部員も加入し、活動名を正式に「地元でライ部」と命名。それまでは「presented by KAI」表記だったものを、泥臭い名前のほうがウケるからとの意見で変更し命名しました。


もともとこの活動を始めるまえから、SIONさんを水戸で聴きたい!との思いが強かったのですが、どのようにコンタクトを取ればいいのかさえわからなかったです。


ただ、地元でライ部を活動していく中で、オーガナイザーとしての力量や、信頼関係を(ミュージシャン、ハコ、お客様)付けていけば道はおのずと繋がるはずだと信じて活動してきました。


▲ボードに書かれたサインは「地元でライ部」の宝であり、歴史でもある。花田裕之やSIONを始め、リクオ、山口洋、仲井戸麗市、山部YAMAZEN善次郎、大江慎也などのサインが躍る




【今回の共演の経緯】

15年も活動してくると、部員皆生活環境がガラッと変わるのは当たり前のことで、ましてやコロナという脅威の中日々精いっぱいだったと思います。


現在自分を含めて部員が5人いて、そのうちの4人が5月生まれなのです。この5人がそろって活動できるのは奇跡であり、(当たり前ですが皆それぞれの仕事をしております。)次に皆がそろえるとは解らないからこそ、周年のイベントは背伸びをしてきました。


毎年開催するのではなく、


5th 大江慎也さん(2013年9月2日 Jazz bar Bluemoods)

10 th仲井戸麗市さん(2018年10月21日 Live Music Pub Paper moon

15 th花田裕之さん、SIONさん(2023年5月28日 CLUB VIBES


と、打ち上げ花火をあげさせて頂きました。


この周年イベントは自分たちというより、自分たちの活動を今まで支えてくれた「地元でライ部ファン」への贈り物と位置付けています。


その思いから、花田裕之氏に直談判をし、「SIONに伝えてみるけれど、期待はせんといてね」と。


願いかないましたが、自分としては花田さんに迷惑をかけてしまったと反省中です(間違いなく全国で 流れをサポートされているオーガナイザーからSIONさんとの共演の依頼が殺到だろうと)。


花田さん本当にすみません&そしてありがとうございました。



【15年の思い、16年にむけて】

15年はあっという間というか、いろいろありすぎて思い出せないこともあります。

ただ、ずっと音楽が好きで、特にその歌詞に支えられてきました。


辛いときって誰だってツライし、人に言えないことってあるのですが、音楽が、歌詞が背中を押してくれたり、なでてくれたり明日への活力になると思うのです。


だから自分たちの企画は「来週からまた各々頑張れるように」と日曜日の開催なのです。「月曜日のバス停や駅で、昨日ライ部に参加したから今週も頑張ろうね!」って聞こえてくるまでは。



【各地の同志へのメッセージ】

自分たちなんかより、ずっとずっと先にインデペンデントな活動を続けている先輩たちがいてくれたからこそ、指標は土台としてありました。長野の高木さんご夫婦、高知の鍵山さんご夫婦、愛媛の梶谷くんや、浜松の谷野さん、上げだしたらキリがないのですが、皆さんの活動に刺激を受けます。


個人やTEAMで動くって、仕事じゃなく本気で動けれるのだと思います。損とか得とかではなく、自分が聴きたい、みんなに聴いてもらいたい。って思いだけではしれますから。うちの場合(地元でライ部)、たまに僕の暴走もありますが。



【自分の街でライブを企画したい方へ】


道のりは厳しいと思います。それはライブを企画するには少なからずリスクが伴います。(集客面の問題からくる赤字の可能性など)(突発的な台風などの気象条件や交通障害など)それらのリスクを背負う覚悟は必要です。


しかし、リスクを背負って達成してこそ見える素晴らしい景色があると思います。主催したからこそ味わえるライブの達成感は格別のものがあります。


ミュージシャンに対する嘆願書提出での地元への出演招聘もいいとは思いますが、その地に根付いたオーガナイザーがいてこそミュージシャンが街に来られるのも事実です。ぜひ足元を固めて、一歩を踏み出してみてはいかがですか?




【地元でライ部の部員】


昔流行った言葉ですが、部員みんな「お・も・て・な・し」の気持ちを持った面々です。普通客出しの際、『ありがとうございました』ってライブハウスで見ない光景じゃないですか。地元でライ部の面々は、どちらかというとお客様に相対する仕事に従事する人間ばかりなんです。


5月28日にご来場なさられたお客様から「ありがとうございました」って箱で言われてびっくりした!って仰っていただきました(笑。)ただの職業病なんです。


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是非、「地元でライ部」のノリさんのツイッターをチェックしていただきたい。



6月6日のツィートには、


“年内の地元でライ部の活動はラスト2本(今のところ)決定致しました!

9月3日(日)

10月1日(日)

ミュージシャン名告知解禁前ですが、ご予約受付開始します(笑)。

周年の年はびっくらポンが続く♩”


とあった。


出演者はわからず、わかるのは日付だけだが、その日は予定を空けておくしかないだろう。きっと、夢のような一夜を見せてくれるはずだ。


なお、上記のライブだが、6月、7月に出演者が公開された。出演者、日程、場所は以下になる。やはり、その日は空けておかなければならない。


『SAKANA HOSOMI 10th ANNIV. TOUR』

細海魚@音食座敷開化亭

9月3日(日)

adv ¥4,000 +2drink

開場15:30 ~お食事可

開演17:30

水戸市泉町3-3-18

【ご予約】6月30日(金)10:00~

地元でライ部

『9.3サカナ水戸』係

氏名、人数、住所、電話番号を明記してメールにてお申込み下さい。


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うたのありか 2023~中川敬ニューアルバム発売記念ツアー<水戸篇>

出演:中川敬×リクオ

水戸 PAPER MOON

10月1日(日)

17:00 open / 17:30 start

前売¥4,500+2D別(当日¥5,000+2D別)

【ご予約】地元でライ部

「うたのありか水戸」係

氏名、人数、住所、電話番号を明記してメールにてお申込み下さい。

追って詳細を返信いたします。

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