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  • FUKUOKA BEAT REVOLUTION

アカネ&トントンマクートの2023年、始まる。今年は成長と成熟の年になる!?

鮎川誠は太陽のような存在だった――2023年2月3日(金) 東京・高円寺「JIROKICHI」



それは、あまりにも突然の訃報だった。2月6日(月)に東京・渋谷「duo MUSIC EXCHANGE」で頭脳警察との“対バン”が鮎川の治療のため、シーナ&ロケッツの出演は辞退になってしまった。当初、頭脳警察の単独ライブということで同ライブは開催されることになったが、今度はPANTAの緊急入院(後にSNSで一時危篤状態だったことがと公開された)のため、ライブそのものが中止になる。仕切り直し――二人が回復し、快癒したら、きっと、二人の元気な姿を見れるものと誰もが思っていたはずだ。しかし、残念ながら鮎川は膵臓がんのため、1月29日(日)に亡くなる。鮎川は1948年5月2日生まれ、福岡県・久留米市出身。享年74だった。


ロックファンだけでなく、多くの方が鮎川誠さんの逝去を悼み、悲しみにくれた。2023年2月4日(土)に東京・世田谷区の「星かげの迎賓館」で行われた“ロック葬”には芸能関係者約900人、一般約3100人の合計4000人以上が参列したという。


この日、2月3日(金)に東京・高円寺「JIROKICHI(次郎吉)」で行われたアカネ&トントンマクートの2023年最初のライブは鮎川さんの逝去直後、葬儀直前での開催になる。下山淳(G、Vo)、穴井仁吉(B、Vo)、延原達治(Vo、G)、佐々木茜(Dr、Vo)の4人にとって、鮎川誠との縁や関わりは深く、その影響や尊敬を抜きにして、4人の存在や活動は語れない。特に穴井にとっては同郷というだけでなく、サンハウスは彼の憧れであり、彼らから学んだもの、継承したものは数多ある。また、穴井はシーナ&ロケッツのメンバーとして、鮎川やシーナとともにレコーディングやライブを経験している。さらにTH eROCKERSのメンバーとして、ソロアーティストとして、彼らとのセッションも数限りない。身近ゆえ、彼の悲しみを推しはかることは難しいだろう。穴井に会っても直接、言葉を掛けるのも躊躇われた。



会場の「次郎吉」はWEST ROAD BLUES BAND、憂歌団、上田正樹とサウストゥサウス、渡辺貞夫、山下洋輔、Char、金子マリ、有山じゅんじ、妹尾隆一郎,近藤房之助、永井ホトケ隆……など、日本のロックやブルースの歴史に関わる、数多の伝説のライブが行われたところである。最近では2020年に同店の45周年記念ライブの一環として、山下達郎のアコースティックライブが行われ、話題になった。会場は立錐の余地もなく、すべての席が観客で埋まる。


この日のライブは下山淳が歌うニール・ヤングの「LIKE A HARICANE」から始まった。暗雲が空を覆い、雨風が吹き付ける“豪雨と暴風の中のハリケーン”か。お馴染みの彼らのレパートリーだが、この日は少し違って聞こえる。そして延原は柴山俊之が作詞し、鮎川誠が作曲したサンハウスのブルース「ぬすっと」を披露する。続く穴井は自らのオリジナルで、MOTO-PSYCHO R&R SERVICEのナンバー「GOT FEEL SO GOOD」を歌う。穴井は“今年初めてのアカネ&トントンマクートのライブです”と告げる。同時に何故か、今年の目標を宣言した。


“一年間、怪我をしないようにします。去年は骨折2カ所したから、注意を払います。今年は何かする時、考えて行動しようと思っている。迂闊な行動は控えます”と語った。延原は今年も“穴井さんの感じでやります”と告げ、穴井がベースのストラップを椅子の背に通してしまったため、一度、ストラップを外してから服を脱いだことを暴露(!?)する。今年も“穴井劇場”は健在である。


延原は“いろんな曲をやりますんで、楽しんでください”と観客に語りかける。下山はお馴染みのオリジナル「黒の女」を、延原は山口冨士夫の「からかわないで」を畳みかけた。


延原は歌い終えると、この日、詰めかけた観客へ“寒い中、高円寺にたくさん集まってくれて、ありがとう”と感謝の言葉を送る。高円寺はアカネ&トントンマクート初お目見えになるが、彼らの音楽性には合っているかもしれない。観客のリアクションもすこぶる良いようだ。


延原は“トントンマクートのキュートなディーヴァ”と、アカネを紹介する。彼女はジャクソンファイブやプリンス、トッド・ラングレンなどのカヴァーでもお馴染み、ザ・デルフォニックスの「ララは愛の言葉(Lala mearns I love you)」をレゲエヴァージョンで披露する。


下山がサブスクで見つけたというモンキーズのスタッフライターとして知られるトミー・ボイス&ボビー・ハートの「あの娘は今夜(I wonder what she's doing tonight)」を披露した後、スウィングするサウンドに穴井のささやくようなヴォーカルが魅力のドクターフィールグッドなどもカヴァーしたウィリー・ディクソン、オーティス・ラッシュの「Violent Love」を聞かせる。こんな奥行きも福岡由来ならではだろう。


下山が「Old Guitar」を披露する。観客にそのギターの切れ味と滋味を堪能してもらう。同曲に続き、延原が「Rock& Roll Gypsies 」を歌う。同曲は"ROCK'N'ROLL GYPSIES(ロックンロールジプシーズ)”の“社歌”ではない。ジェシ・エド・ディビスのデビュー・アルバム『Jesse Davis!』(1970年)に収録されたナンバーで、オリジナルはロジャー・ティリソンという、スワンプロックの名曲である。スワンプロックという、ブルースからロックへ至る、そんな軌跡はサンハウスとも被るところもある。アカネ&トントンマクートがどこを目指すか、特に明言などされていないが、いずれにしろ、サンハウスが辿った道の轍がひとつの道しるべであることに間違いないだろう。



同曲を終えると、第一部は終了。20分ほどのインターバルになる。密を避ける換気の時間にもなっている。この時点では、まだ、制約や規制が残る。メンバーが再び、ステージに戻って来る。セットリストでは第二部は下山の歌から始まる予定だったが、すぐには演奏に入らず、何故か、穴井が学生時代の思い出を語りだす。穴井劇場の開幕だ。共学クラスでのプール教室など、演奏するのを忘れたかのように穴井劇場は続いていく。山や落ちなどはないが、何故か、彼の伝統芸に引き込まれる。


下山が歌う、第二部のスターティングナンバー「Chevrolet」はメンフィス・ミニー&カンザス・ジョーのブルースナンバー。タジ・マハールやフォガット、ブラック・クロウズなど、数多、カヴァーがある中からロベン・フォードのヴァージョンをピックアップしている。ロベン・フォードはフュージョン畑と思われがちだが、ブルースをルーツとして、ブルースのカヴァーも多い。下山のフェバリット・アーティストらしい。小気味のいいギターフレーズを繰り出し、トークからライブへ、モードを切り替える。この辺の場面展開も見事。流石、百戦錬磨の下山と言っていいだろう。


続いて穴井が英3大ブルースバンドのひとつ、Fleetwood Mac(フリートウッド・マック) の「ONLY YOU」を披露する。トントンマクートでは既にお馴染みのレパートリーだが、こんなブリティッシュビートの深いところから掘り起こすのも彼ららしい。延原がTHE ROOSTERSの未発表曲「TELL ME YOUR NAME」をカヴァーする。初期の作品だが、隠れた名曲(諸事情!?でリリースされなかった未発表曲集『unreleased』などに収録されている)と言っていいだろう。


同曲を軽快に歌い終えると、延原は声のトーンを落とし、“鮎川さんが亡くなるという、大きな悲しみに包まれています。特に穴井さんはロケッツのメンバーでしたし、サンハウスは憧れの存在でした。鮎川さんの作った曲を歌ってみようと思います”と告げる。そして、延原と下山が「ビールス・カプセル」(シーナ&ロケッツ)、穴井が「おいら今まで」(サンハウス)、延原が「LAZY CRAZY BLUES」(シーナ&ロケッツ)を歌い、偉大なる先達であり、彼らに大きな影響を与えた鮎川誠をトリビュートする。曲を演奏するだけでなく、穴井は初めてサンハウスを見たのは高1のときで九電体育館(1974年8月1日「L-MOTIONロック」)であり、その後、彼らのレコードはベスト電器で買い求めたことを明かす(シングル「地獄へドライブ/キングスネークブルース」だったそうだ)。また、鮎川がツアー中にサービスエリアで羊羹を買い、片手で煙草を吸いながら、片手で羊羹をチョコレートバーのように頬張っていたという意外に甘党なエピソードも披露された。


トリビュートに続き、トントンマクートのディーヴァ、佐々木茜が自ら歌詞をつけカヴァーしている「Don't take my sunshine」(オリジナルはSTAXレーベルを代表する女性2名+男性2名の4人組ソウルグループ、Soul Children)を披露する。


同曲を終えると、穴井は“鮎川は太陽のような存在だった”と告げる。「Don't take my sunshine」には“私の太陽の光を奪わないで”という歌詞がある。同曲は彼女が以前から日本語の歌詞をつけて、カヴァーしていたナンバー。既に昨年、トントンマクートのステージでも披露していた。同曲がトリビュートになる。偶然のことだが、不思議な偶然ではないだろうか。


同曲を終えると、延原の歌で「MIDNIGHT RUMBLER」(THE ROLLING STONES)、下山と延原で「DO THE BOOGIE」(THE ROOSTERS)を畳みかける。この辺はアカネ&トントンマクートの独壇場である。疾風怒濤の如く、会場を熱く、盛り上げる。メンバーは会場から消える。観客席からはアンコールを求める拍手とマスク越しの歓声が轟く。会場のボルテージは一気に上がっていく。


アンコールの声に呼び戻され、5分後にはステージに登場する。そして延原が歌ったのはシーナ&ロケッツの代名詞というべき、「YOU MAY DREAM」だった。鮎川さんとシーナさんの邂逅を夢見で感じた方も多いのではないだろうか。


続けて、このところ、アンコールの定番曲になっているブルースの名曲「I'VE GOT MY MOJO WORKING」(Muddy Waters)を披露する。会場は興奮の坩堝になる。


そしてそんな興奮や熱狂を鎮めるかのようにニール・ヤングの荒ぶる「LIKE A HURICANE」とは対照的な彼の穏やかなナンバー「HARVEST MOON」で締める。



彼らの歌や演奏からは鮎川さんの強固な意志や音楽的な収穫を引き継ぎ、明日へと伝える――そんな“メッセージ”が聞こえてくる。いずれにしろ、敬愛と思慕が滲む。いつものアカネ&トントンマクートでありながら、何か“セレモニー”を見ているようでもあった。


会場には福岡の仲間たちもたくさん駆けつけていた。鮎川の葬儀に出るため、東京へ来たという。当然、縁も所縁も強い彼らもお別れを告げに行った。穴井は惜別の言葉を告げても鮎川さんはそこにいるような気がすると言っていた――。




アカネ&トントンマクートの成長、そしてYAMAZENと幌馬車に乗り込む――2023年3月4日(土)新宿「紅布(red cloth)」

新宿のライブハウス「紅布(red cloth)」は、昨2022年9月19日(月)に骨折のため、活動を休止していた穴井仁吉の復帰公演(!?)を行った場所である。そんな由縁ある同所での3月4日(土)のアカネ&トントンマクートのライブは、2月3日(金)の高円寺「次郎吉」に続く、早くも今年、2回目のライブになる。


この日の1曲目は下山が弾くギターリフが印象的で、かつ、その曲の1988年ヴァージョンこそが“オリジナル”だと誰もが認める泉谷しげるの「春夏秋冬」だった。延原が泉谷とは、また、一味違う歌声で同曲に磨きをかけ、輝かせる。



下山と延原のギターの掛け合いがわくわくさせられる下山のオリジナル「黒の女」へ続く。穴井はサンハウスの「おいら今まで」を畳みかける。同曲後、穴井は昨年の復帰ライブの際、骨折で退院直後のため、足に負担をかけないため(骨折部分が床などにつかないため、ガードとして固定していた)、オートクチュール(特製!?)のギブスをつけていたことを述懐する。まるでサイボーグ状態だったが、当然、いまはギブスもすっかり取れた。完全復活である。延原は前回の高円寺「次郎吉」でも披露したTHE ROOSTERSの未発表曲「TELL ME YOUR NAME」を演奏する。延原のヴォーカルと下山のギターは初期のTHE ROOSTERSを彷彿させるブルージーで猥雑な魅力を振りまく。さらに穴井がオリジナル「GOT FEEL SO GOOD」を歌うが、何故か、歌う前に穴井の姓の目覚めの話になり、同曲は裸族のテーマであると断言する。穴井のクールなヴォーカルに下山のブギーなフレーズがステイタス・クォーやサヴィブラウンを彷彿させる。ブリティッシュロックでもロックンロールやブルース由来のものだけでなく、ブギーなどからも着想を得るのが彼ららしい。福岡には“ロックの図書館、松本康さんのジュークレコードがあった”を体現する選曲ではないだろうか。


下山がジョニーウィンターもカヴァーした「ボントンルーレ」を演奏し、アーシーなフレーズを聞かせる。




同曲の後、改めてメンバー紹介が行われる。延原は“トントンマクートの紅一点”と佐々木茜を紹介する。彼女はトッド・ラングレンやローラ・ニーロ、プリンス、ジャクソンファイブ、山下達郎などもカヴァーしたお馴染み、デルフォニックスの「ララは愛の言葉(La-La Means I Love You)」のレゲエヴァージョンを披露する。トントンマクートの世界に奥行きと幅を加えるのだ。彼女の参加は、ドラマーとしての役割りだけでなく、無骨なルーツロックバンドに華やかな彩を添えたといっていいだろう。


同曲に続き、THE ROOSTERSのお馴染みの「ロージー」を披露するが、オリジナルのスカヴァージョンからダブヴァージョンへと姿を変える。残響音の中、下山のギターが鋭く切り込み、延原のギターのカッティングもディレイを聞かせ、泳ぎ回る。ダブへの大胆な改変は、まるで12インチのクラブミックスヴァージョンを聞かされているかのようだ。手法そのものはオーソドックスなものだが、とてつもなく斬新なものとして響いてくる。


実は同ヴァージョンは3月8日(水)に配信された音楽プロデューサー、井出靖の初の自伝『ROLLING ON THE ROAD 僕が体験した東京の1960年代から90年代まで』の出版を記念する「SUPER DOMMUNE」の特別番組『井出靖「Rolling On The Road」発刊記念SPECIAL!!』で、延原、下山、そして池畑潤二というメンバーで披露したヴァージョンと同じものである。その斬新なアプローチと革新的な音は多くの反響を呼んだ。ルーツを深掘りしながらも懐古主義に陥らず、同時代性を内包する――それは下山や延原らがアカネ&トントンマクートに求めているものであり、それが彼らの真骨頂ではないだろうか。


続けて延原がお馴染みTHE DOORSの「RIDER IN THE STORM」、そして下山が荒ぶる「LIKE A HURCANE」を披露して第一部を締める。延原は“前半はおしゃべりが少なめでしたけど、後半は穴井さんへの質問コーナーもあります、期待してください”と、アナウンスする。


20分ほどの休憩を経て、第二部が始まるのだが、メンバーが登場して演奏がすぐ始まるかと思ったら何故か、延原から下山淳は春になると元気になるという話が振られる。下山は雪国、山形・鶴岡出身だが、寒さに弱く、ヒートテック2枚重ねということもあるという。だからといって、セーターを重ねる、厚着は嫌いで、知らず知らずのうちに薄着になるそうだ。下山の体温は低いらしく、彼が発表した平熱は驚くべき数字だった。



相変わらずのグタグタぶりがトントンマクートらしい。下山いじり(!?)は続き、下山淳が免許がないにも関わらず、ベレット(BELLETTは、いすゞ自動車が1963年から1973年まで製造、販売していた小型乗用車。中古を購入!)を買ったという驚愕の事実が明かされる。そんな話から下山から“シボレーを買ってよ”という発言が出て、ロベン・フォードがカヴァーした「Chevrolet」が始まると言う見事な流れで、第二部の演奏が漸く始まる。当然、フュージョンではなく、いかしたロックンロール。下山のファズギターと延原のブルースハープが気持ちよく絡み、穴井のベースとアカネのドラムスが心地いいグルーブを作っていく。


下山が続けてトミー・ボイス&ボビー・ハートの「あの娘は今夜(I Wonder What She's Doing Tonight?)」を披露する。こんなパワーポップを見つけて、さりげなくトントンマクートでカヴァーするところも下山らしく、THE ROOSTERS(THE ROOSTERZ)で、常に“Something else”を加えてきた彼の面目躍如だろう。


延原はジェシ・エド・ディビスがカヴァーしたロジャー・ティリソンの「ROCK&ROLL GYPSIES」を歌う。ジェシはレオン・ラッセルやタジ・マハール、ジョージ・ハリスン、エリック・クラプトンなどの共演で知られるスワップロックの名手である。そんなところの深掘りも彼らならではだろう。続いて、ブルース繋がりで、穴井がピーター・グリーン在籍時のFleetwood Mac(フリートウッド・マック)の名曲「ONLY YOU」を披露する。さらに延原が山口富士夫の「からかわないで」を畳みかける。自らのルーツであるフェバリットソングを嬉しそうに歌う、まさに独壇場。


そして下山がオリジナル「OLD GUITAR」(2003年のRock'n'Roll Gypsiesのアルバム『Ⅰ』に収録)を披露する。やはり、これも下山らしい、“めんたいロック”の一言だけではかたずけられない、聞けば聞くほど、染み入る曲である。


で、ここで質問コーナーが始まる。今年、1月26日に64歳になった穴井に延原が“64歳になって、どうですか?”と質問を投げかける。穴井は“20代の時は60代の自分をことは考えてなかったけど、やはりこの歳になっても75歳くらいの自分も想像できない”と言う。そんないい話からラジオ体操の話やチクロやポキール(意味は各自検索してもらいたい)の話に流れ、山なし、落ちなし、意味なしという、穴井劇場が始まる。


そんな雰囲気を変えるべく(!?)、フィールグッドもカヴァーしたウィリー・ディクソンの「Violent Love」で大人の渋い歌を聞かせてくれる。齢64、年齢を重ね、熟成された味(!?)も出ごろだ。


さらに延原から佐々木茜に“トントンマクートへの参加について、メンバーになって、どうですか?”というストレートな質問が飛ぶ。アカネは“メンバーになれて嬉しい、ライブを一緒に出来て嬉しい”と、答える(当然、本音だろう!)。彼女は前回も披露したSoul Childrenの「Don’t take my sunshine」を歌う。同曲は前述通り、カヴァーで彼女がオリジナルの歌詞をつけたもので、以前から歌っているものだが、同曲はトントンマクートには欠かせないレパートリーになりつつある。


同曲を終えると、延原の歌うTHE ROLLING STONESの「MIDNIGHT RUMMBLAR」、そして延原と下山が歌うTHE ROOSTERSの「DO THE BOOGIE」を畳みかける。アカネ&トントンマクートというロックトレインが一丸となって、疾風怒涛の勢いで駆け抜けていく。バンドとしての結束は見る度に強固なものになっている。バンドとは、成長していくものであることを感じさせる。


「MIDNIGHT RUMMBLAR」から「DO THE BOOGIE」への流れは圧巻。ロックンロールの“スタンダード”をいまの歌として紡いでみせる。その手際は鮮やか。彼らの十八番といっていいだろう。


同曲が終わると、メンバーはステージから消える。アンコールを求める拍手とマスク越しの歓声が会場を満たす。


会場に戻ったメンバーはシーナ&ロケッツの「YOU MAY DREAM」を、鮎川誠への思いを込め、歌う。第一部でサンハウスの「おいら今まで」に続き、鮎川さんへのトリビュートになる。偉大なる先達への敬意と愛情が溢れ出すような歌と演奏である。あの日から少し時間が経った。喪失感は一朝一夕に癒えるものではないが、“地上班”でできるだけのことはして、遺志を引き継ぐという決意がうかがえた。



同曲を終えると、下山がニール・ヤングの豊穣なる「HARVESTMOON」を歌い出す。当初、アンコールは「ビールス・カプセル」と「MOJO WORKING」を演奏するはずだったが、穴井劇場が長すぎたため(!?)、残念ながらカットされてしまった。むしろ、「YOU MAY DREAM」から「HARVEST MOON」への流れがこの日は相応しかったかもしれない。鎮魂や慰撫がありつつも、聞くものの心と身体を優しく包み、抱きしめる――そんな時間になった。同曲を歌い終えると、メンバーは、また、ステージから消える。会場にあたたかな余韻を残す。



拍手と歓声の中、穴井仁吉がカウボーイハット(!?)を被り、一人、ステージに現れる。彼は4月23日(日)埼玉・所沢「MOJO」、24日(月)東京・下北沢「440(four forty)」で行われる“福岡の生きる伝説”、YAMAZENこと、山部善次郎とのツアー「BE HERE NOW TOUR 2023」についての告知をする。


山部善次郎を盛り上げるため、穴井仁吉(B)、延原達治(Vo、G)、下山淳(G、Vo)、佐々木茜(Dr、Vo)というアカネ&トントンマクートの4人にTH eROCKERS、Chappy'sの澄田健(G、Vo)、山部の旧友で彼のCDなども出している、シッカローラーズの石井啓介(Kb)を加え、“YAMAZEN&The幌馬車”としてライブを行うという。


“山部さんと一緒に楽しい感じで、それがライブでできれば、みんなが幸せにはなるのではないか。これからもよろしくお願いします”と、珍しく真面目に語る。


山部と穴井とのライブやレコーディングなどでの共演は数限りなくある。いうまでもないが、TH eROCKERSは「可愛いアノ娘」や「「キャデラック」「ハリケーン娘」など、山部のオリジナルをレコーディングし、それらは彼らの重要なレパートリーにもなっている。


山部にとって、関東でのフルバンドでのライブは久しぶりになる。この機会に彼の存在を知らしめるべく、穴井はいろいろ面白いことを考えているようだ。アカネ&トントンマクートにとってもメンバーの増員、サポート活動など、新たな段階に突入する。自らのルーツを深掘りしながら、影響を受けたものを引き継ぎ、新たな世代に繋いでいく――そんな「使命」を楽しみながらこなしているようにも見える。


公演自体は4月23日(日)所沢「MOJO」、24(月)下北沢「440(four forty)」の2公演のみ。見逃さない欲しい。反響によっては、幌馬車が全国を駆け巡るかもしれない。是非、そのためにも多くの方に足を運んでいただきたい。


改めて記すと、2023年2月3日(金)の高円寺「JIROKICH(次郎吉)」、3月4日(土)の新宿「紅布(red cloth)」と、アカネ&トントンマクートは短期間に2度のライブを行った。2月は鮎川誠さんの逝去直後、“ロック葬”直前とあって、追悼モードになったが、3月は “穴井劇場”や“ギター漫談”も好調、本領発揮である。歌も演奏もトークもトントンマクートらしさに溢れる、3時間超えの熱演になった。そのアンコールでは「YOU MAY DREAM」に思いを込めた(穴井は5月2日に下北沢「シャングリラ」で開催される「鮎川誠 追悼ライブ音楽葬」にも出演する)。同時に2度のライブを通して、バンドとしての成長と成熟を感じさせた。キャリア豊富なベテランミュージシャンに成長などというのはいまさら憚れるが、短い期間や少ないライブ回数にも関わらず、アカネ&トントンマクートというバンドがとてつもないバンドになってきたことを確信させる。彼らは前述通り、この4月にYAMAZENこと、山部善次郎とのライブがある。成長・拡大化した“シン”アカネ&トントンマクートと、福岡のロックモンスター、YAMAZENとの激突(競演!)、楽しみだ。


YAMAZEN & the 幌馬車

BE HERE NOW TOUR 2023

山部善次郎 Vocal

穴井仁吉 Bass & Vocal

石井啓介 Keyboard

澄田健 Guitar & Vocal

下山淳 Guitar & Vocal

延原達治 Vocal & Guitar

アカネ Drums & Vocal


4/23(日)所沢MOJO

開場18:00/開演19:00

予約5,000円/当日5,500円(D代別500円)

問:所沢mojo 04-2923-3323  http://mojo-m.com

SOLD OUT


4/24(月)下北沢440(four forty)

開場18:30/開演19:30

予約5,000円/当日5,500円(D代別600円)

問:03-3422-9440(16:00~) 440(four forty)   http://440.tokyo

SOLD OUT


※当日券は未定、各会場にお問合せください。

※ライブ当日は予約順の入場となります。お席の指定はできません。

※各会場入場時にYAMAZEN & THE幌馬車の記念乗車券をお渡しいたします。



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